変遷

「龍ノ口グリーンシャワーの森」は岡山県岡山市の北東部、竜の口山の一角にある森林公園です。平成改元を記念して岡山県が設置した都市近郊の森林公園「龍ノ口グリーンシャワー公園」が前身になっています。

岡山県の財政構造改革の一環として2010年(平成22年)3月の「龍ノ口グリーンシャワー公園」閉鎖が決まりましたが、この公園の一部(約3.5ha)を岡山県と地元市民団体が共同管理することで、「龍ノ口グリーンシャワーの森」として存続することになりました。

現在は「龍ノ口グリーンシャワー公園」と同様に、地元住民を主とする岡山市民のハイキング・自然観察・癒しの森として親しまれています。

龍ノ口グリーンシャワー公園以前(昭和時代)

1937年(昭和12年)、当時の農林省林業試験場により、竜の口山に「竜の口山森林理水試験地」が設置されました。ここには、森林の状態が変わることにより流れ出る水量にどのような変化が起こるかを研究するための施設「量水試験所」が設けられ、以降今日に至るまで北谷・南谷の二つの流域の森林から流れ出る水量が測定されています(⇒参考サイト)。

この試験地では瀬戸内海沿岸地帯の治水・砂防・造林に関する試験業務も開始されました。また、多くの樹種が植栽され、試験展示林として整備されてきました。

地元住民には「里山」として利用され、親しまれてきました。

龍ノ口グリーンシャワー公園(平成元年〜21年)

1989年(昭和64年)に、昭和12年以来の試験地事務所が閉鎖されました(量水試験は無人化方式で継続)。これを機に、岡山県が跡地に都市近郊の森林公園として「龍ノ口グリーンシャワー公園」を設置しました。平成改元を記念しての公園設置でした。

この公園は、児童・生徒・家族連れなどが自然探勝・森林浴などを通じて自然への理解とふれあいを深めながら、保健・文化・教育的活動の場として利用できる施設でした。

園内には昭和の初めから植栽された有用樹種も多く、外国産も含め約250種の樹木が生育。1989年(平成元年)度から3年間の整備で岡山県に自生するものを中心に植栽された約130種、1800本も含まれています。

2010年(平成22年)3月、残念ながら、岡山県の財政構造改革の一環として「龍ノ口グリーンシャワー公園」が閉鎖されました。

龍ノ口グリーンシャワーの森発足

2009年(平成21年)から準備を進めてきた「龍ノ口グリーンシャワーの森を守る会」が、2010年(平成22年)2月に発足しました。経緯は:

2008年(平成20年)

12月12日 「平成21年度で龍ノ口グリーンシャワー公園閉鎖」の報に際して
高島・旭竜エコミュージアム」を語る会で「グリーンシャワー公園閉鎖」に関して意見交換。「グリーンシャワー公園の利用者の声を集める会」を開催することにする。また、この会で出た意見をもとに、岡山県林政課の担当者との懇談会を開くことにする(存続に向けて)。
12月22日 「グリーンシャワー公園の利用者の声を集める会」開催を決定
「グリーンシャワー公園の利用者の声を集める会」を2009年1月17日に開催することに決定。岡山市立高島公民館の公民館だよりとチラシで参加者を募集。

2009年(平成21年)

1月17日 「グリーンシャワー公園の利用者の声を集める会」開催(参加37名)
岡山県議会議員I氏に、閉鎖に至る経緯を話してもらう。「規模を縮小してでも残してほしい」・「利用者と行政が協力して管理できないか」・「存続できるなら、草刈・清掃などをボランティアでやっても良い」といった声が多い。
1月30日 岡山県林政課担当者との懇談会開催(参加33名)
1月17日の 「グリーンシャワー公園の利用者の声を集める会」で出た利用者の声を基に、岡山県林政課担当者と懇談会を行う。県は国との協議の準備を始め、2008年々度内には一度協議の場を持ち、その報告会を開くことにする。
3月21日 グリーンシャワー公園の今後についての説明会(岡山県担当課より。参加17名)
国との協議の結果、規模を縮小して既存の施設を残すことができる状況になる(トイレ2箇所、駐車場、遊歩道、ふれあい広場の一部を残す。現状の面積6.6haから約半分に縮小。展望台・休憩小屋などの建物は撤去)。ただし、住民や利用者が管理するのが前提(管理のための組織=サポート組織が必要)。
5月中旬 サポート組織設立に向けての準備開始
市民有志およびグリーンシャワー公園を取り巻く牧石・旭竜・高島・竜の口の連合町内会長で、市民グループ設立準備会の話し合いを持つ。
6月18日 準備委員会役員会発足
会長、副会長、幹事、事務局員が決まる。
6月下旬〜7月上旬 県担当課と会長、事務局とで現地検証
県から詳細な青焼きが提示され、借地部分や残す施設などの検証を行う。
7月下旬〜10月下旬 3回の役員会開催
会員募集の件、パトロール、トイレや広場の清掃、草刈、会則などについて協議を行った。グリーンシャワーの森の維持管理以外に、共生の森事業について県の担当課と備前県民局参加のもと話し合いがもたれた。100名以上の会員が集まったので、準備委員会総会を開催することになった。
11月29日 龍ノ口グリーンシャワーの森を守る会準備委員会総会(参加105名)
役員の選出。守る会準備委員会発足とこれまでの活動の説明。今後の活動についての話し合い。

この後、2010年2月14日の「龍ノ口グリーンシャワーの森を守る会設立総会」を経て、4月から守る会の活動が始まりました。実際の活動に関しては、「記録」のページをご覧ください。

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